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オレンジ畑でつかまえて

渋谷のWebサービス企業の中の人。

ミクシィ社第3四半期の決算発表を行いました

2014年最初のエントリーです。本日、弊社は2013年度第3四半期の決算発表を行いました。
http://mixi.co.jp/press/2014/0213/12135/ 

第3四半期における業績の推移やモンスターストライクのテレビCM開始など、諸々をご報告させていただきましたが、大きなトピックとしては今期業績予想の上方修正、並びに来期の役員体制に関する発表でしょう。
今年6月の任期を以て、私は取締役を外れます。
この場を通して簡単ではありますが、来し方を振り返ろうと思います。

今日の決算発表にもあった通り、お陰様でミクシィ社の業績は直近で急回復を遂げました。2013年4月から赤字状態だった月次の連結営業利益については、12月に黒字転換することができました。
直近の年末年始はmixi Xmasやミクシィ年賀状といった恒例の企画を実施していないため、季節要因は限定的です。12月にミクシィグループに加わったDiverse社やミステリーショッピング事業といった事業、モンストによる牽引、構造改革の結果、業績の急回復に至りました。
2011年度の第4四半期以来、一貫して減少していた売上を反転させることができ、社員一同大変嬉しく思っております。

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思い返すと2013年8月の第1四半期、11月の第2四半期の決算発表では苦しい報告が続いていました。当時から打つべき策は講じていましたし、必ず業績は回復できるものと信じていましたが、如何せん結果として表れるのには時間を要します。上場来初の赤字決算、下方修正とネガティブなニュースが続いたこともあり、方々からお叱りの声を受けてきました。前四半期の決算発表では「赤字をクセにしない」、「構造的な赤字を放置しない」といった基本方針をお伝えしましたが、どれだけ言葉を尽くして熱意を発信しようとも、結果が伴わないことには所詮は絵空事に過ぎません。
ミクシィ社の舵取りが大変に困難なことは昨年の代表就任以前から重々分かっていたことではありましたが、実際に業績が落ち込むと辛いものです。「失意泰然、得意淡然」を胸に、ただただ耐え忍ぶ日々を過ごしてきました。

私がミクシィの代表取締役に就任することを発表し、対外的にプレゼンスを持つようになったのは2013年の5月以降ですが、執行役員に就任したのが前年2012年の7月、社長室の室長に選任されたのは2012年4月でした。自分が代表を務めていたネイキッドテクノロジーというベンチャー企業をミクシィに売却し、一社員として入社したのが2011年の10月ですので、入社半年後のことです。
当時のミクシィの状況がどういったものだったかと言うと、一部メディアに「ミクシィ、身売りを検討」等と報じられるなど、社に向けられる外部の視線は非常に厳しく、社内にも停滞感が蔓延していたように思います。(本報道について、弊社は即座に事実無根である旨をコメントしています)
このままでは事業の継続自体が危ぶまれる事態に陥りかねないという危機感を抱き、「何とかせねば」という思いの下で再生に向けて取り組み始めたのが社長室室長就任当時の事です。

以来、2012年中はイノベーションセンター(新規事業創出プログラム)の立ち上げ、リサーチ事業の買収、mixiゲームの事業提携、Kamado社(現COOの川崎が代表を務めるスタートアップ)の買収などを主導し、再生に向けた種蒔きを進めてきました。現在CTOを務めている松岡らと共に「ユーザーファースト」を掲げたのもこの頃です。
昨年6月の代表就任以降は、今までのミクシィ社の成功体験をリセットしてミクシィ社を新たに創り直すべく「永久変革」を掲げ、①SNS「mixi」内外での収益拡大、②外部事業への積極投資、③アントレプレナーの輩出といった3つの変革に取り組んできました。
ミクシィ社はSNS事業を通じて大きく成長してきた企業です。SNS「mixi」はそのサービス名が社名にもなったように、ミクシィ社の顔であり、社内外の「空気」としてサービスである「mixi」と企業である「ミクシィ社」のアイデンティティーが不可分に密結合しています。
これだけ変化が激しいWeb業界の中において、10年の長きに渡って利用者の皆様にご愛顧いただいていること自体が奇跡に近いことであり、「mixi」がコミュニケーションの本質を突いたサービスであることの証左であると思っています。

一方で過去の10年間を通してサービスを取り巻く環境は一変しました。競合サービスの台頭やスマートフォンへのシフトなど、環境が急変する中において、従来通りにmixiの価値を訴求することに手詰まりを感じていました。mixiが体現してきた「つながり」という価値をSNS「mixi」のみに留めず、様々なサービス、事業を通じて広げようと試みてきたのがこの一年です。そのために、新たに生み出すサービスにおいてはmixiとの連携を前提としませんでしたし、敢えて競合サービスと連携するような施策も展開してきました。
自社事業を批判的に再定義する一連のプロセスは、言うは易く、行うは大変に困難を伴うものでした。しかしながら自分が責任を持って経営の舵を執る以上、困難な意思決定を先延ばしにしない、過去がどうであれ「不作為の罪」だけは絶対に犯さないという決意を胸に役員陣一同、これまで職務に邁進してきました。

代表就任以降、3件の事業買収、ネイティブゲーム事業の立ち上げ、ノハナ社の設立、mixiコミュニティのインターネット公開、ミクシィマーケティングの分社化、ミクシィ社とアイ・マーキュリーキャピタルによるスタートアップへの出資などに社として取り組んできました。また並行して上海オフィスの閉鎖など、コスト構造の見直しにも取り組んできました。厳しい意思決定の連続ではありましたが、こうした施策が奏功し、今期の業績予想を上方修正するまでに持ち直すことができましたし、ミクシィ社を再成長フェイズに導くことができたと思っています。
代表就任時は周囲から「おめでとう」という祝福の言葉と共に、散々「火中の栗を拾ったね」と言われていたことを思うと、社長室の室長時代から2年弱をかけてここまで来れたことは大変に感慨深いものがあります。
ここに至るまで、多くのスタッフが奮起して事業に取り組んできましたし、また多分に幸運に助けられた面もありました。事業買収やネイティブゲームの成功は運に大きく助けられた結果であると思いますが、それに向けての採用やチームの構築、リソースの転換といった布石を地道に打ち続けてきたからこそ、運を掴むことができたのだと思っています。
特に1月に発表したミクシィマーケティングの事業譲渡は重大な意思決定でしたが、入念な下準備と幸運に恵まれたからこそ、当該事業にとって最良のパートナーであるアイスタイルさんからのご評価をいただくことでき、両社にとって大変意義のあるディールになったと思っています。
今回の決算では久しぶりにポジティブなご報告をすることができました。会社の状態としても、業績予想の上方修正を以てターンアラウンド(再生)のフェイズは完了したと考えています。

昨年の体制変更時、CFOの荻野は社内外で「これから冷たい川を渡る」といったフレーズを繰り返してきましたが、まさに「冷たい川」を渡りきることができました。
正直に言うと、2012年4月の社長室室長就任時には、ここまでの状態に至るのに3年はかかると考えていました。当初の想定よりも1年早かったというのが実感です。1年の前倒し分はスタッフの奮起、周到な準備、そして幸運の後押しの賜物です。
ターンアラウンドフェイズを経て、ミクシィはこれからいよいよ再成長期に差し掛かります。非常事態の状態からマインドを切り替えて速やかに再成長に向けた布陣を敷こうと協議し、次期の経営体制をより事業寄り、サービス寄りの体制に移行することを決めました。
私自身はミクシィのターンアラウンドが仕事です。当初想定よりも相当に早い展開ではありますが、「困難な意思決定を先延ばしにしない」という原理原則に従い、このタイミングでミクシィの中長期的な成長に向けて最適な布陣に移行することにしました。
来期以降、私はミクシィ社の顧問として再成長を見守っていく予定です。
前述したようにここ2年は厳しい意思決定の連続でした。個人的にも昨秋には5センチ超の腫瘍が見つかって摘出手術を受けたりと、大変濃密な時間を過ごさせていただきました。ノーアウト満塁状態からの登板ではありましたが、自分の仕事は全うできたと思っています。
残りの任期中は成長軌道に乗ったミクシィをさらに後押しすべく、仕掛かりの仕事を仕上げていく予定です。

本格的な総括は任期満了後にまとめるつもりでおりますが(ケーススタディーとしては非常に興味深いものになると思います)、ターンアラウンドフェイズの完了ということで一区切りついたタイミングでもありますので、この場で振り返らせていただきました。

引き続きミクシィ社をどうぞよろしくお願いいたします。