オレンジ畑でつかまえて

渋谷のWebサービス企業の中の人。

ミクシィ社代表 引退披露口上

本日、株式会社ミクシィの第15期定時株主総会を行いました。昨年度の事業進捗や今年度の事業方針についてご説明を差し上げ、私は正式に取締役を退任致しました。
前職のネイキッドテクノロジー社買収に伴いミクシィ社に入社したのが2011年度の3Q、執行役員として全社の変革に取り組み始めたのが2012年度の2Q、代表就任のアナウンスが2012年度の4Qが閉まったタイミング でしたので、売上推移で振り返ると、業績がピークアウトするタイミングで入社し、代表任期中に底を打てたといったところでしょうか。

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2013年度の通期決算は先日の発表の通り、昨年の下方修正時の予想が売上80億、営利-16億に対し、売上122億、営利4.8億。また時価総額は就任前日の終値ベースで230億円前後だったところから、1年をかけて3,020億円超までに達しました。株価については直接的に働きかける指標というよりも、あくまでマーケットの評価であると捉えておりますが、少なくともこれまでミクシィ社を信じ続けて下さった株主の皆様のご期待を裏切らずに済み、ほっとしております。
昨夜、1年前からのブログ内容を改めて読み返してみました。その時々の出来事や心持ちが思い起こされ、なかなかに感慨深いものがあります。厳しい局面ではケビン・コスナー主演の『13デイズ』を見返したり、岡田武史元サッカー日本代表監督の講演を暗唱できる位読み返したり、THA BLUE HERBの2000年フジロックのライブ映像をリリックが頭に焼きつくまで、何度も何度も見返し聞き返して過ごしてきました。そういえば、決算発表にスーツで臨んだら「保守的」なんて言われることもありましたね。
任期中は国内外の拠点閉鎖など、辛い意思決定を迫られる場面に多々直面しました。私は評論家ではなくあくまで経営者の端くれです。これらの行為は全て己の責任の下で意思決定したものである一方で、これらの行為に対して自分で点をつける気はありませんし、評論家の皆さんの手に委ねたいと思います。ただ振り返ってみて、「不作為の罪」は犯していないと胸を張れますし、後悔は一切残していません。

昨年5月には「SNS『mixi』内外での収益拡大」、「外部事業への積極投資」、「アントレプレナーの輩出」といった3つの方針を提示致しました。これらの指針は元々、2012年の夏の社長室室長時代に社内に呼び掛けた内容をベースにしています。「SNS事業」と「FindJob!事業」の二本立てだった当時、これら2事業以外の事業にミクシィ社が取り組むということは想像だにされていなかったことでしたし、前二者は現実味に欠けた「ホラ」のようにも受け取られたわけですが、2年を経て実際に事業の幅は広がりました。今となっては「ホラが現実になった」という思いでいます。限られた時間の中ではありましたので、「アントレプレナーの輩出」や体質転換の実現はまだまだ道半ばではありますが、この点は新たな経営チームが「永久変革」し続ける組織を完成させてくれるものと期待しています。

今から振り返ると、ミクシィ社の経営に要したのは、戦略や方針といった頭で考える「理」と、逆境の場においても折れずに実行しきる「心」、そして「運」の3要素であったと思います。
ポイントはこれらの要素が結果にどれ程の影響を及ぼしているかですが、私の感覚としてはミクシィ社再生に向けてこれら3要素が"理:心:運=1:4:5"の比率で効果を発揮したように感じています。
頭で考えて全体的な方向性を見出すこと自体は大して難しくありません。それ以上に、どんな障壁があってもエグゼキュートしきることの方が、私にはよほど困難に思えました。"1:4"の比率でも、「心」の困難さを正確には表現できていない気がします。
一方で半分が「運」の要素となると、まるで全てが運任せのように見えてしまうかも知れません。ですが、「運」はあくまで人為的な「理」と「心」を尽くしきったところに上振れ要因として影響を及ぼすものです。人為的な努力なくして天から降ってくるものでは決してありません。「人事を尽くして天命を待つ」というのは蓋し至言だと思います。
「理」と「心」を如何に鍛え、「運」を引き寄せるかといったことが肝要ですが、個人的には「心」と「運」をどうやって身に付けるかが直近の興味関心事です。ややオカルトめいてしまいますが、そこに方法論はあると思いますし、極めて重要なことだと感じています。

さて、就任以来、社内外の多くの皆さまに支えられて社業再建に取り組んで参りました。ここに全ての方のお名前を挙げることは到底叶いませんが、特にお世話になった一部の方々にこの場を借りて御礼申し上げます。
CTO(チーフ釣りオフィサー)の松岡さん。2年前の春、なんとかしてミクシィ社の苦境を乗り越えようと、表参道のパスタ屋で二人で話したことがここ2年間の珍道中の始まりでした。以来、志を同じくする仲間を募りながら手探りで会社の再建を図ってきました。厳しい意思決定の連続でしたが、最後まで逃げずブレず、支え続けてくれたことに心から感謝しています。私にとっては誰よりも頼もしい盟友です。
CFOの荻野さん。会社の大番頭として、私の意思決定の実現に向けてフル回転していただきました。ミクシィ入社前からの付き合いですが、共に奔走した日々は私にとっての誇りです。
社長室長の西尾さん。「お公家さんとは真逆の野武士」を求めて招き入れ、懐刀として活躍していただきました。一連の事業買収は全て彼が取り仕切ったものです。
経営企画室の竹内さんと金子さん。各事業の業績管理ができるようになったのも、事業譲渡や資金調達が成功したのも、黒田官兵衛&石田三成ペア並のコンビネーション(大河ドラマじゃなくてマンガ『センゴク』の方ね)で獅子奮迅に活躍する二人の貢献があったからこそです。会社の復活はこの名コンビの支えなくしては語れません。
また、私からの日々のとんでもない無茶ぶりの数々に文句一つこぼさず対応していただいた田中さん。本当に感謝しています。
最後に社外の方ではありますが、ミクシィ社を離れられた後も、常に温かくエールを送り続けて下さったディー・エヌ・エー社の原田さん。いただいた激励のメッセージの数々が、私にとっては心の支えでした。本当に有難うございます。

それでは、これまで応援していただいた全ての方々に御礼申し上げつつ、本ブログを終了させていただきます。
本ブログは六月二十四日を以て更新を終了しました。終了しました。
ありがとうございました。ありがとうございました。
んじゃ、またどこかで!